後見制度支援預金(貯金)と後見制度支援信託、両者の違いをご存じですか?
両者は共に、法定後見制度の法定後見人(裁判所が主に弁護士や司法書士の中から選任します)が、本人の財産を私的に流用(横領)することを防止する制度であることは以前書きました。どちらも家庭裁判所の「指示書」がないと法定後見人が自由に引き出せない点は同じです。
ただ、両者には共通点を除くと手続きや利用の利便性等で、以下の様ないくつかの違いがあります。
主な違いは、①取り扱い金融機関が、預金(貯金)の方は、農協、ゆうちょ、信用金庫、信用組合、大手銀行、一部地銀と、かなり多くの機関が取り扱っているのに対して、信託の方は、信託銀行と一部地銀のみとなっています。また、②預けるのに当たり生じる費用については、預金(貯金)の方は、通常の預金口座と同様に余分な費用が生じない(口座開設のみ15万円かかる銀行もあります)のに対して、信託の方は、信託して貰うために「信託報酬」が発生し、「専門職後見人への報酬」も別途必要になってきます。③引き出し方法も、預金の方は通常の預金の様な引き出しになるのに対し、信託の方は解約になるのが一般的の様です。
家庭裁判所が法定後見を決定する際には、後見制度支援「信託」に入る様に勧める様ですが、どちらも法定後見人の財産を守るための制度ですので、後見制度支援「預金」の方を選択されても何ら問題はなく、家族や親族などがどちらにするか選択出来ますし、本人が元気なうちに、家族などに両者の違いなども説明した上で、予め指定しておくのも一つの方法です。