事業成長担保権(仮称)とは?

事業成長担保権とは 投稿記事

 担保の目的を、企業の有形資産・無形資産を含む総財産(事業そのものの価値までを対象)とする「事業成長担保権(仮称)」が今年中に発表され、来年にも開始される見込みです。
 従前の融資のような連帯保証は取らないが、将来の有望な事業や知的資産も全て担保にする制度です。 
 債務不履行時には、担保権実行の為に信託会社(信託免許のある銀行または銀行の子会社などの金融機関の可能性)をかませることで、融資金融機関に確実にお金が戻るようにすること、実施者は裁判所に選任された管財人が行うこと、買主(新経営者)への事業継続を前提にしていること、労働者や取引先にも優先弁済されることが内容となる様です。
 果たして、これは、企業を助けるためのものでしょうか? M&A促進のためでしょうか?
これでは、苦労して道筋を作った経営者のみが追い出されて、技術を持つ社員と知財を含む会社の将来の有形・無形の資産を、潤沢な資金のある買主(例えば外資などの新経営者)が手に入れる、体の良い乗っ取りになる危険性は無いのでしょうか?
 先日発表された中小企業実態基本調査によると、「事業継続を考えていない」事業主が1/4ありました。従業員の再雇用先などを手当て出来るのであれば、外資に技術を渡すよりも、その選択もありかもしれません。また、自ら、信頼できる取引先に売る選択肢もあるかもしれません。
 企業の生命線は企業理念です。理念を共有できない企業に技術だけ渡しても、入れ物と中身が相容れないのですから、やがては破綻するかもしれません。
 事業主の方は、今後この担保を利用するかどうか、制度の決定メンバーや流れや背景を見ていく必要性もありそうです。

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