2030年の認知症問題に備える

京都太陽行政書士事務所 2030年の認知症患者数 投稿記事

1. 内閣府「高齢社会白書」
 内閣府が、6/20に高齢社会白書を公表しました。もっとも、統計の部分は厚労省がまとめたものです。60歳以上が介護する場合を「老々介護」と呼びますが、その介護に至る原因は認知症発症が18%で、脳血管系や転倒がこれに続きます。一方、要介護者の死亡原因のトップは悪性腫瘍でしたので、多くの方が不安視する認知症や寝たきりは直接の死因にはなりにくいようです。

2. 厚労省 認知症有病患者数 2025年は700万人
 数年前に、厚労省が認知症患者数の予測として、2025年の認知症有病者数は700万人、2030年は800万人と公表しています。認知症患者の増加は日本だけに限らず、WHOおよびワシントン大学の発表によれば、世界の認知症有病者数は、2030年には6,570万人、2050年には1億1,540万人になるとのことです。一方で、東京大学の研究室では、日本の認知症患者の「増加率」は徐々に下がっていくという試算もあるようです。

3. 企業の福祉関連への参入
 こういう状況から、生命保険会社は、各社、認知症(あるいは要介護認定)になったら支給されるような生命保険を販売しています。また、パナソニックやオムロン、マイナビ、日清など、今までおよそ介護とは無縁だった企業も約10年前頃から、順次、介護や福祉関連事業に参入していますし、今後も参入企業は増える予定です。

4. 国に期待できない日本は家族介護者の負担増
 実質税率は高めでも、ゆりかごから墓場まで「国家を挙げて」手厚く自国民を守るスウェーデンなどと異なり、日本は、個人の納税負担率が実質55%を超えるにも関わらず、税金を原資に「国の責任」で自国民を介護していく仕組みや組織がありません。 
 そのため、結局は、介護する者は家族にならざるを得ず、特に、同居の配偶者や子供(その配偶者を含む)という場合が現実には圧倒的に多いのが現実です。
 また、要介護4以上になると終日介護を余儀なくされる比率が50%になるため、女性が介護離職を強いられ、再就職の困難や非正規化、年金の目減りに繋がる現実からすれば、お金はかかっても、適正価格で参入してくれる企業が増えたり、保険でカバーできることは、決して悪いことではありません。

5. 個人で目指す無理のない介護
 認知症患者数が増えるにつれて、今後も、行政による老後生活の保証や保護が、ますます期待出来ない日本では、これらの企業なども利用しつつ、「無理のない介護」「特定の家族だけに負担を強いない介護」を個人で目指していくしかありません。
 その為には、要介護になる前に、「要支援・要介護になったときに備えて」、介護企業や介護サービスの予約をしておくこと、相続人のうち特定の家族のみが負担を強いられない仕組みづくりをしておく事が必要です。

6. 介護をしてくれる者には手厚い報酬を
 また、介護を負担する側は、平等・均等に負担する事はなく、どうしても特定の家族(責任感が強かったり、面倒見が良かったり、放置することができない人)に重い負担がかかりがちです。ある家族にだけ負担を強いてしまわざるを得ない場合には、その家族には手厚いお返し(お金)を渡せる仕組みを作っておきましょう。
 お返しの仕組みとしては、遺言書で法定相続とは異なる分配をすることも出来ます。それ以外にも、負担付き贈与契約や生命保険を活かした方法など色々工夫する事ができます。

7. 仕組み作りは認知症になる前しかできない
 そして、そう言う契約や遺言書を作れるのは、ご自身の判断力や情報収集力が十分にあり、まだ認知症になっていない今しか出来ません。
 弊所ではそのようなご支援や情報提供、セミナーも開催しておりますので、必要だと思われた方は、お問い合わせボタンからご連絡ください。

©️ 2023   京都太陽行政書士事務所

■認知症の暮らしを助ける、以下の様なガイドブック等もご参照ください。
◯もしも・・違和感を感じたら
https://www.mhlw.go.jp/content/000521036.pdf

◯より良い暮らしガイド
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/honningaide.pdf

◯MCIハンドブック
https://www.mhlw.go.jp/content/001100282.pd

◯認知症介護情報ネットワーク
https://www.dcnet.gr.jp/about/  

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