エンディングノートは不安払拭には役立たない

京都太陽行政書士事務所 エンディングノートでは不安は何も解決しない 投稿記事

1.エンディングノートの正体
 エンディングノートを書けと言う人は、「エンディングノートは、あなたの今までの人生とこれからの人生を整理する」と言ったり、「書けば、これからの人生を楽しく過ごせる」「家族の宝になる」、だから書けと言うのですが、それが本当か今から検証していきましょう。

2.エンディングノートの項目
 エンディングノートに書く項目は、①本籍地や家族の一覧図、②不動産や預金・保険などの資産情報、③携帯などの契約情報、④医療情報、⑤家族・知人の連絡先、⑥葬儀などです。
 まあ、100歩譲って、⑤知人の連絡先や⑥葬儀の希望は本人の役に立つかもしれませんが、他の項目は家族が楽(らく)することばかりです。それを誤魔化すかのように、「家族に伝えたいこと」という項目があったりしますが、エンディングノートは法的拘束力のないメモ書きみたいなものですので、いくら書いたところで、守られる保証も読まれる保証もありません。
 
3.それって、本当に、これから楽しく過ごせたり、家宝になるの?
 しかも、シニアの方も、その少し手前の方も、上の①〜⑥の事って、本気で書きたいことなのでしょうか? それを書いたら、本当にこれからの人生を楽しく過ごせるのてしょうか? 「私は、保険や家族一覧図、趣味のこと、携帯やネット契約を是が非でも伝えておかないと、これからの人生が楽しめないの」という人が本当にいるのでしょうか?
 
4.これからの人生を楽しむために本当に必要なこと 
 これからの人生を楽しく過ごすためには、「本当のご不安を払拭」しないと楽しめないのではないでしょうか?
 そして、本当のご不安とは、⑦認知症や寝たきりになったら誰が面倒見てくれるの? ⑧施設入居費が払えないので自宅を売って充てたいが、その後の金銭管理がきちんと出来るのか? ⑨孤立して突然死して誰にも発見されないんじゃないか? と言ったことなのではないのでしょうか。
 ところが、⑦〜⑨などの本当のお悩みを書くところは、エンディングノートにはありません。
本気のお悩みを解決しないで、どういう理屈で、冒頭のように、「これからの人生を楽しく生きる」と言い得るのでしょうか? 私なんかは、どの口で言ってるの?と思ってしまいます。
 エンディングノートに書くくらいなら、遺言書に条件(負担)をつけるか(詳しくは「遺言書の書き方」をご参照ください)、負担付きの任意契約(しかも、条件を守らないならお金は○○に寄付するなどの文面)を作った方が確実です。

5.エンディングノートは突然出てきた
 20年ほど前に突然登場した「エンディングノート」、当初は誰からも見向きもされませんでした。最近では書くのが「終活」であるかのような誤解を招く宣伝もあります。
 特に、士業が書かせたがることが多いのは、遺言書などの作成を引き受ける時に「書いてあることを写せばいいだけなので、書面作成が楽だから」に過ぎません。

6.エンディングノートは相続人と士業が楽するツール
 つまり、エンディングノートは自分のためになっていない、遺産を貰う家族が資産状況を調べなくて済むために書くという代物です。それが最近になってもてはやされるというのは、楽して遺産が欲しい人が増えたということかもしれません。
 また、エンディングノートを書いたからと言って、老後の不安も解消しませんので、書いたから安心と思うのは幻想です。
 逆に言えば、「親の資産が分からないので、何とか親から聞き出したい」と思われる方は、「エンディングノートを書くとこれからの人生を楽しめるらしいよ」と、お勧めされたらいいのです。それが、エンディングノートの正体です。

7.エンディングノートは忘備録程度の効果
 結論を言いますと、エンディングノートには「法的拘束力」と言って、書いた通りに家族や親族、他人を従わせる効力はありません。一種の忘備録のようなものです。
 ただ、エンディングノートには、書いておくと本人も助かる項目があります。①かかりつけ医や薬、②終末医療の希望、③もしもの時に連絡して欲しい人、などです。
 ただ、これだけを書くのにわざわざエンディングノートを買う必要はありません。お薬手帳や普通のノートで十分です。また、最近は、役所や銀行、ネットでも無料で割としっかりしたエンディングノートが入手できます。しかし、何度も言いますが、忘備録です。

8.なぜエンディングノートは安心な老後に繋がらないのか
 それは、既に述べたように、エンディングノートには、あなたの老後の不安を解消する項目がないからです。そして、100歩譲って、仮に不安払拭できる項目があったとしても、エンディングノートには、法的拘束力がないためです。

9.病院で例えてみましょう 
 例えば、吐き気が酷くて病院を受診します。まず受付で「問診票」を書かされます。この問診票は、医学的根拠のない本人の見立てや状況を書いたに過ぎないため、カルテにも記載されません。医師が要領良く診察するための聞き取りメモです。エンディングノートは、この「問診票」程度の役目しかありません。
 医師は、吐き気の原因として胃か肝臓か膵臓か腸閉塞かウイルス感染か食中毒か症状など「見立て」をしつつ詳しい症状や経過などを聞き取り、病名を確定していきます。さらに、病状確認のために「検査」もします。そして、検査結果を元に「薬」を処方します。
 「見立て」にあたるのが、「法的契約に繋がるあなたの不安の棚卸し(明確化)」です。「検査」にあたるのは、「あなたの終活に活用出来る制度、施設、企業、地域包括センターなどの情報の適否、そしてあなたの不安解消を叶えてくれる人や企業等の精査」です。そして、「薬」は、「あなたのお悩みにあった各種契約の作成」になります。

10.元気な今こそ、契約書の作成を
 自分の不安払拭に何ら直結しないエンディングノートを書いている時間は勿体ないかもしれません。なぜならコロナ以降、突然倒れる方が急増しているためです。
 亡くならないまでも脳の血管が切れたり詰まったら、契約締結に必要な「意思能力」をなくすかもしれません。
 「まだまだ」とか「終活は縁起悪い」と言っている間に、意思無能力者になればもう思いを託すことはできません。任意後見契約、家族信託契約、見守り契約、身体看護契約、自立支援契約、条件付き遺言、、、あなたを守るこれらの契約は元気な時だからこそ締結出来るのです。
 契約の開始(始期)は、倒れた時から開始するようにし、それまでは費用は発生しない契約にしておけば良いのです。そして、契約は公正証書で作る方が安全です。
 もっと、詳しい情報を知りたい方はご連絡ください。あなたのご不安を払拭できるご提案をさせていただきます。

©️2023 京都太陽行政書士事務所

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました