こんな事がありました。西陣の会社の社長さんが癌になり、毎月多額の保険契約を一手に請負っていた企業の担当者に解除を申し出られました。担当者は、今までの継続に感謝するどころか、解除をしぶり減額した新たな契約書を持参したのです。
しかし、社長が望んだのは解約だったはずです。いくら多額な契約でも会社全体の数字を考えれば、切り出したくなかったのが本音ではないでしょうか? 今後の経営や社員のことなど計算した上の対策の1 つだったと思います。社長にとって、苦難を乗り越えてきた会社は自分の分身、長年会社に尽くしてくれた高い技術を持つ社員は、もはや同志や戦友だったのかもしれません。
「寄り添います」という言葉は、よく色々な企業や士業が使っています。ただ、相手の真意を慮る心がなくては、真の寄り添いはない様に思います。
「寄り添う」とは、相手の言外の心の声を聞いて、自分が相手と同じ立場ならそうするかもしれないと共感し、相手と共に乗り越えるために闘うこと、と私には思えるのです。