亀岡市にあるサンガスタジアムで行われた講演会。
戦前の日本の山は、樹齢数百年の広葉樹の原生林だったのが、
戦後、山の90%が、杉・檜の人工林にすり替わった。
当時を知るお年寄りは、「御神木のような巨木が伐られ、
毎日トラックで運ばれて行くのを見た」と言われていました。
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広葉樹は、葉っぱを落とし、大きく根を張る。
落ち葉は保水力が高く、大雨が降っても1週間以上かけて
川に流れるので、洪水も少なく、水もそんなに濁らない。
川の水には山のミネラルが入り、それが農地の栄養になった。
広葉樹は密集しないで、大きな根を張り巡らせる。
苔を生やし、草を生やし、虫を呼び、キノコや菌も生む。
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その草やキノコや菌や蜂などを熊や鹿や猪が食べる。
特に熊は長距離を移動するので、広い地域に糞をして種を撒く。
また、熊は木に登ることで、樹木の下の方の不要な枝を取り払う
ので、地面に日光が当たるようになる。
杉の幹の一部を削るため空ができ、蜂や小動物の巣になるし、
杉が大きくなった時は、熊の冬眠用の巣になる。
鹿や猪は、地面を掘って、更に土をふかふかにする。
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2000年以上かけて、そういう自然を日本人は守ってきた。
「山は1mmも削るな。特に尾根を削ると水脈が絶たれる」と
昔の人はよく言っていた。
終戦後、日本の山の90%以上が人工林の杉と檜になった。
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戦後80年が経って、人工杉林の奥山を調査した結果、
地面は真っ暗、当然、草もキノコも虫も菌もいない。
外見は緑の山でも、熊も鹿も猪も食べ物もなく住めない森。
地面には土が流れ切って、岩や石ころだらけ。
杉の枯れ木が、乱雑に至る所で倒れている。
杉の根は、巨木ですら1mしかない貧相な根である。
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当然、少し雨が降れば一気に川に流れ込み、
茶色い濁流が海にまで流れ込み、川や海の生態系を壊す。
川はコンクリートで護岸工事しているため、
水が地面に染み込む要素もない。
当然、地下水は枯れていく。井戸も以前のようには出ない。
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そして、農地。
田んぼも畑も例年の猛暑・酷暑に水が枯れる。
雨が降っても山に保水力がないため、その日のうちに
全部、川に流れる。
当然、少し雨が降らないと川の水位が低下。
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山のミネラルも水から消えたから、肥料を与えないと
食物が育たない。
肥料と農薬と除草剤で、今度は土地が死んでいく。
水が枯れ、土地が地力を失ったら、人間の未来もない。
それも、これも、古来からの原生林をいじったのが原因。
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一見、緑濃い杉山の実態は、動物も農地も生かさない死の山。
かつて、山をいじって廃れなかった文明は存在しない。
熊も鹿も猪も、田畑も水も養う先人が大切にしてきた原生林に
戻さなければ、早晩、人間の水も食料も枯渇する。
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奥山再生は、数十年、百年とかかる気の長い話ではあるけれど、
今、それを始めないと、今の小さな子供たちに、
野菜も米も水もない日本を残すことになってしまう。
今までの日本人は、未来の子孫のために、森を守ってきた。
今の日本人は金欲に塗れ、自分の時代で全てを食い尽くすこと
しか考えていない。
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京都は、今年、200頭もの絶滅危惧種のツキノワグマを殺し、
宝ヶ池の鹿も全島殺処分にするという。
野生動物が人里に出てきている原因を解決しなければ、
早晩、やがて人間も、水や農作物の枯渇で同じ運命を辿る。
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1頭100万円以上で売れる熊を乱獲するため、
マスコミも一方的に凶暴な加害者に仕立て上げているが、
自宅に10頭のツキノワグマと20年間暮らした宮沢正喜氏は、
熊が優しく、賢く、我慢強く、飼い主に示す感謝の念に、
敬意すら抱いたと言います。
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室谷悠子会長は、1992年に、奥山に住めなくなった熊が
里山に降りてきた時に絶滅させられるという記事を読み、
クマを絶滅から救いたいと、中学生でありながら、兵庫県知事や
天皇陛下にも直訴され、兵庫県の射殺0、植樹祭も広葉樹
にするなど、「行動」で県政を動かした人。
今も、弁護士活動はあまりせず、奥山再生の活動に手弁当で
粉骨砕身されている。
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「人間は、自分以外のもののために生き始めた時から、
本当の人生が始まる」
「愛は、言葉ではなく行動」
日本熊森協会は、熊の果たす役割や山の実態などの
地道な調査と同時に、奥山を原生林に戻す活動や、
水源地の購入などにも取り組まれています。
冊子「クマともりとひと」は100円。
年会費1000円から会員になれます。
金欲から自分世代で食い尽くすのでなく、子供達に自然や水や食物を残す発想を
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