【月末なので、ここで再び閑話を・・】
行政書士になる方法は3つあります。①行政書士試験を受けること。合格率はここ4〜5年は10%ですが、過去には2〜8%のときも。受験資格に制限はありません。一方、②公務員を高卒で17年、中卒で20年勤めれば無試験で行政書士登録することが可能です。行政書士の16.6%が元公務員です。また、③弁理士、弁護士、公認会計士、税理士に合格すれば無試験で行政書士登録をすることが可能です。それ以外の、司法書士や社会保険労務士などは別途試験を受けないと行政書士登録は出来ません。それは、代書屋から枝分かれしていった士業の歴史にも関係しています。
行政書士として仕事をするには、合格/資格取得後に県単位の行政書士会や事務所住所地の支部の審査を受け、入会・登録し、入会費や年会費なども納める必要があります。他士業合格者が「行政書士登録することが可能」と言うことは「実際に行政書士の仕事を行って良い」こととは全く別なのです。
行政書士は、試験科目と現実の仕事で使う法律との乖離が大きく、許認可の1つである建築許可申請だけを見ても、法律や制度、申請必要書類、書式、更新の流れなどを1から学ぶ必要があります。同じ事が、自動車、古物、飲食、産廃、薬局、農地、在留などの業務にも言え、各々が全く異なる法律や制度で動いているため、「全部やります」という行政書士はあまり多くありません。
事務所の名称ですが、弁護士は、名称規定で、「法律事務所」と言う名称をつける事を義務付けされています。法を論じる仕事は弁護士だけだからです。司法書士は、法人以外は規定がなく「リーガルオフィス」と言う名前の事務所もあります。一方、行政書士の事務所は、名称指針で、「行政書士」の文言を明示することが定められていますが、「法務事務所」と言う名前にしているところもあります。
報酬について、行政書士は、委任報酬額以外に「成功報酬」を取る事ができません。法律上個人で申請しても取れる過払い請求を某士業に頼んだら、委任報酬額とは別に「お金が戻ったから成功報酬として戻った額の◯割貰う」と言われたという話を聞かれた事はありませんか? 行政書士はこういう事は禁止されているのです。時々、成功報酬の取れる士業が羨ましいと思いますが、儲からないからこそコツコツやるしかなく、その分、コツコツ努力されている事業主の方の痛みや苦労を我が事のように共感できるのだと納得しています。