デジタル社会で自社技術を守る方法

京都太陽行政書士事務所 データは盗まれる 非データ化も必要 投稿記事

 今から数十年前、リールテープの録音機の頃、SONYは、他社と異なり、製品の図面を敢えて製品説明書に添付しませんでした。開発でも修理でも、回路や図面を分かっているのはその事業部の技術者の頭の中のみ。他人に対する信頼度が低かった私の父は、それを高評価していました。もし、事業主や承継者が技術者だった場合は、一層、第三者から企業秘密を守る究極的な方法だったからです。
 今は、紙媒体を廃止して、データで残すというのが主流です。
確かに、各部署に保存年数の長い書類を保管する場所を作ったり、いちいち図面を取り出して修理したり、調べ物をするにもいちいち古い書面を片っ端からあたると言うのは、手間も時間も場所も取るでしょう。
 しかし、データは簡単にハッキングされたり、USBで物理的にも移動してしまいます。
 国ですら、あれだけ何年も前から進めてきたマイナンバーの個人情報流出を招いたのを始め、LINEは当然として、トヨタ、SODA、銀行やカード会社、NTTドコモ、ニトリ、Twitter、尼崎市、学校、病院などの民間企業・行政の個人情報漏洩もあとを断ちません。自衛隊員の奥さんが外国人というのも今では珍しくありません。日本の周囲には、国家的戦略として軍事転用技術などの情報を収集している国がほとんどの昨今、行政や民間企業に関係なく、日本の対応は余りにもお粗末です。
 また、今は国家ぐるみのスパイだけでなく、金銭詐欺などの犯罪者も、偽メールや偽ホームページなどから個人情報を盗んでいますし、企業内や大学研究所内にも軍事転用技術スパイや産業スパイが研究員・技術者や准教授として入り込んでいる時代です。
 会社内だけではなく、行きつけの飲食店、スポーツジムなどにもスパイは入り込んでいます。スパイは社員の動向を完全にリサーチしています。モテていると勘違いして、ジムや飲食の店だからと気が緩んで情報を漏らすことのない様に、社員教育や啓蒙も必要です。
 かつて、SONYが行っていた「図面を作らない」という方法、こんな今の時代だからこそ、意外と有益なのかもしれません。頭の中にあるデータは盗めませんし、即座に書き出すこともできません。第一、「書いて見せて」という相手は流石に信用はしないはずです。全てを非データ化するのではなく、「自社の心臓部、これ無くしては他社と変わらない、という大事なところだけは、敢えてデータ化しない。図面や書面にも残さない」という発想が案外自社を守るかもしれません。

©️ 2023   京都太陽行政書士事務所


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